物流の現場を多くの人に知って欲しい。
現役配車マンが語る、物流現場のイマとこれから
インタビュー詳細
「AI配車アシスタント LOG」(以下:LOG)開発のきっかけとなった、静岡県を中心に幅広い物流サービスを展開している山岸運送株式会社様のLOG導入事をご紹介いたします。
今回、LOGを導入して得られた効果や今後期待することについて共同配送の配車業務を担っている市川 涼太様にお伺いしました。
山岸運送株式会社
(https://www.yamagishi-group.co.jp/)
焼津事業部 課長 市川 涼太様
自動配車システムの導入を考えた理由
Q. まず初めに聞きたいのですが、僕らがLOGの開発に着手する前に「欲しい機能は何か」とヒアリングをさせてもらった際、「自動配車が欲しい」と一番に仰っていました。
なぜ自動配車機能が特に重要だったのでしょうか。
A.配車業務は非常に属人的で、そこを解消したかった。というのが一番の理由です。
普段私が配車業務を行なっているのですが、他のメンバーに引き継ぎを行いたいと思っても、配車業務は中々それができないのです。感覚や経験から普段の配車組みを行なっているので、一つずつ教えていくにも非常に時間がかかります。これを一般化して、社内の誰でも配車組みができると良いなと思ったのが自動配車が欲しかった理由です。
LOGを選んだ理由
Q. 国内でも自動配車機能を提供している会社はいくつかあると認識しています。実際僕たちがLOGの開発に着手したのも、山岸運送さんからヒアリングをさせていただいた後なので、市場では後発にあたります。その中で、なぜ今まで取り組まれていなかったのでしょうか?
A.実は以前からも何度かチャレンジはしていて、他のサービスも検討したことがあります。しかし、ルールの中では綺麗に回りますが、現場で必要なことは柔軟性です。そこに対応するものがなかったという印象です。
Q. 具体的にどういうケースでそのように感じられたのでしょうか?
A.例えば、データを入力して配車を行ったあとに、ある条件を追加して再度配車組みを行いたいと思っても、その条件だとエラー(対応していない制約)になったり、そもそも自分達が行なっている非常に複雑な配車組み(ドライバーごとの働きたい量を考慮して、積み降ろしが複数あるような配車など)を全て対応できているサービスには出会えませんでした。
配車マンってパソコンを触っているより、電話をしてうまく荷物をとることが仕事。みたいなところがあるので、配車を効率化するためのシステムなのに、常に気にしておかないといけないという状況もしんどいです。どれだけ配車を考える時間を減らせるかが大事で、そういう意味では、使い勝手が重要ということですね。LOGはシンプルな操作性と複雑な条件に対応できる柔軟性が非常に良いと思います。
Q. ありがとうございます。僕たちも、どんな条件が来ても最適解が出せるようなシステム思想でLOGを開発したので、柔軟性をご評価いただけるのは非常に嬉しいです。あと、個人的には宵積み機能を評価いただけるともっと嬉しかったです。(笑)
社内メンバーと、「宵積みMTG」というタイトルのMTGを何度やったかわかりません。宵積みを自由自在に対応させることが、他のどんな機能よりも難しかったので思い入れがありまして、今後御社内で大活躍することを期待しています!
3時間から10分に。
普段の業務に生まれた大きな変化
Q. LOGの導入前と後を比較して、どういう効果が出ているのかお聞かせいただけますか?
A. 当社の配車チームは、配車業務を行う配車マンと、案件入力や配車条件の間違いがないかチェックを行う配車補助が数名いるという形で行なっているのですが、LOGを使うことで配車補助メンバーで配車計画を作成し、最後に私がチェックだけするという形に変わっています。
それによって空いた時間を、営業や社内MTG、ドライバーとのコミュニケーションにあてています。今までは例えばドライバーとコミュニケーションをとりたくても手元の作業が溜まっていて取れない。ということもよくありました。配車マンが配車にかかる時間から解放されて、会社を強くするための時間にあてられることは非常にメリットが大きいと考えています。
Q. 効率化できた。ということですが、大体時間にするとどれくらいでしょうか?
A. 配車業務ってまとまってずっと行なっているわけではないので厳密には難しいのですが、今まで3時間程度はかけていたと思います。それがチェックするだけに変わるので大きな変化です。
市川さんの配車業務 ビフォアフター
効率化だけじゃない。
LOGが運送会社に与える影響とは?
Q. 時間削減に貢献できたこと、非常に嬉しいです。あと、空いた時間で会社を強くするための時間にあてるという話、素晴らしいと思いました。実際、配車マンが優秀であればあるほど、このインパクトは大きいだろうなと感じました。他の企業様にも参考になる部分があると思うので、もう少し他の時間に割いているところについて具体的に教えていただけますか?
A. 例えば、空いた時間で営業に行くことで会社の売上を伸ばすことができますし、自分でトラックに乗ることで売上に貢献することもできます。その他にも、今月の特に注力したい目標を社内のMTGで話し合って、現場の一致団結感を高めることなんかも、とても大事にしています。配車マンの役割は「ただ配車を行う人」ではなくて、「会社全体をサポートする人」だと思っているので、どうすればその時間を作れるかを常に考えています。
Q. お話を聞いていて、特にドライバーとの信頼性が重要なんだろうなと感じました。そういう意味では自らトラックに乗る姿勢だったり、現場の一体感を出す動きというのは本当に会社全体を支えている仕事なんだろうなと感じます。僕たちもシステムで少しでも負担を減らせられるように、どんどん良いものを作っていこうと思います。
例えば、こういう機能を追加して欲しい。というのはありますか?
2024年問題に向けた取り組み
A. 今はドライバーの勤務時間や走行距離を指定して自動配車をしていますが、その辺も全て自動で計算されたら便利です。例えばドライバーごとに、「稼ぎたい人」「休みを多めに欲しい人」「毎日安定した業務を行いたい人」などその特徴は様々です。配車マンはそれらの特徴から荷物の割り当てを考えるので、その辺が考慮されて自動で配車されるようになればいいなと思います。
その他にも、今運送会社は2024年問題に真剣に向き合っています。1ヶ月の働ける時間、1日の働ける時間、連続運転時間など労働に関わる全ての条件が勝手に配車条件に入っていたら非常に便利ですね。そういったものを常に考慮していくのはとても大変な業務なんです。
Q. 実はその辺の機能は実装準備を進めていて、アルゴリズム的にはすぐにでも対応できるものです。あとはインターフェースでうまく表現できれば、それらの機能もリリースできると思うので、来年の早いタイミングでお知らせしますね。僕たちも2024年問題は意識していて、そのためにシステムでサポートできることは全て実装していきたいと思っています。
A. とても楽しみにしています。
物流の現場をに知ってほしい。
現役配車マンが語る、物流のイマとこれから
Q. 最後に、少しざっくりとした質問になりますが、物流業界に対しての想いなどがあればお聞かせいただけますか?
A. もっと多くの人に物流の現場を知ってもらえると嬉しいです。今、現場では多重下請け問題やドライバー不足など多くの課題に直面しています。さらには燃料やトラックの値段などコストが上がっている中で、運賃が上がっていないという現状があります。
この状況が続くと、きつくて続けられない会社も増えるはずです。
こういった現場を少しでも多くの人に知っていただいて、物流がどうあるべきかを考える人が増えたら業界も良い方向に向かうのかなと思っています。
Q. 僕たちも「業界の盛り上げ」は非常に重要だと捉えていて、そのために多くの優秀な人材を集められるサイクルを仕事を通して築いていきたいと考えています。今教えていただいた課題に対して、運送会社さんができることはどういうことだと考えられていますか?御社が取り組まれていることなどがあれば教えてください。
A. やっぱり面白い取り組み、面白い仕事で知名度を高めていくことだと考えています。例えば、荷主様から直接仕事を依頼していただこうと思ったら、まず知ってもらう必要があります。そうでなければ、大手の物流企業など誰もが知っているところに普通は頼むはずです。
なので、まず自分達が目指すところは「静岡なら山岸」と思ってもらえるようになることです。そうなることで、直接ご依頼いただく数が増えると、ドライバーに渡せる給料も増え、良いサイクルが生まれると考えています。
そのために、これから「ダイレクト物流」というワードで仕掛けていくつもりです。
Q. ダイレクト物流ですか。それは業界で使われている言葉なのでしょうか?
A. いえ、弊社内で決めたオリジナルの言葉です。テーマは「早い、安い、うまい」です。牛丼みたいですよね(笑)
Q.「うまい」ですか?(笑)
A. 「巧い」ですね。丁寧・安全という意味で使っています。
Q. なるほど。「早い、安い、巧い」ですか。良いですね。新規のお取引が増えるとその分だけ、配車業務も複雑化されていくと思うので、是非LOGでも貢献させてください。
今日は色々とお話をお聞かせいただきありがとうございました。僕自身、現場を知る上で非常に勉強になりました。
これからもよろしくお願いします。一緒に業界を盛り上げるための仕掛けができると良いですね!
A. ありがとうございました。是非やりましょう!
本記事のまとめ
■ 自動配車システム導入のきっかけ
配車業務の属人化解消。社内の誰でも配車ができる環境を整えたかった。
■ LOGを選んだ理由
LOGはシンプルな操作性と複雑な条件に対応できる柔軟性が非常に良かった。
■ 業務効率化
LOG導入前の3時間の配車業務が、導入後は10分程度に大幅短縮。
効率化で捻出した時間は、営業や社内MTG、ドライバーとのコミュニケーションに充てている。
■ 物流現場のこれからについて
現場で直面する様々な課題に対処するためにも、物流をもっとたくさんの人に知ってもらいたい。
山岸運送としては、面白い取り組み、面白い仕事で物流業界を盛り上げていきたい。